18回日本静脈麻酔学会

                                                Japanese Society for Intravenous Anesthesia 2011

 

会長挨拶 

第18回日本静脈麻酔学会会長  福田 和彦

京都大学医学部附属病院 麻酔科教授

    

  第18日本静脈麻酔学会の開催を担当させていただくにあたり、一言ご挨拶申し上げます。今回は、2011年11月26日(土)に京都リサーチパークにおいて開催する予定です。本学会はこれまで、日本局所麻酔学会、日本麻酔科学会支部学術集会などとの合同開催が多かったのですが、今回は敢えて単独開催と致しました。日本局所麻酔会、日本麻酔薬理学会が解散され、麻酔関係の学会が整理される中で、学会としての存続とますますの発展を目指すには、学術集会が単独開催で成立することが必須であると考えたからです。

  本学会は静脈麻酔に用いる薬剤およびinfusion technologyを扱う研究会として出発し、学会として発展してきました。当初は静脈麻酔薬としてプロポフォールが本学会で扱われる薬剤の中心でしたが、レミフェンタニルとロクロニウム、さらにスガマデクスの登場により、静脈麻酔自体が大きく変貌してきたように思われます。infusion technologyの方面では、プロポフォール投与にtarget-controlled infusion(TCI)が使用されるようになり、今後はレミフェンタニルにもTCIが臨床応用されることが期待されています。全身麻酔の3要素は鎮静、鎮痛、筋弛緩ですが、それぞれの役割を別々の短時間作用性薬剤が果たし、適切なモニタとinfusion technologyを用いることによって、3要素を単独で調節することが可能になりつつあり、個人差や手術の種類によって最適な全身麻酔を提供することを目指すことができるのではないかと思います。 

  新しい薬剤やinfusion technologyが導入されたとしても、麻酔科学には多くの未解決の問題が残されています。麻酔の種類によって癌の長期予後に差があるとする報告や、乳児期の全身麻酔により学習能力に差が生じるとする報告などがあり、現在私たちが日常的に使用している麻酔法が決して完成されたものではないことは確かなようです。安全で質が高く、しかも科学的裏付けをもった麻酔法の確立に向けて、本学会が貢献できることを期待しております。

  紅葉の京都において、静脈麻酔の将来に向けての活発な議論を期待しております。全国から多くの先生方のご参加と演題応募をお願い申し上げます。