周術期患者集中治療介入データベースの構築

1. 研究の名称

周術期患者集中治療介入データベースの構築

2. 研究の目的

術後患者における集中治療介入の実態を調査し、ICU 入室基準を再考する。

3. 研究の背景

近年、集中治療室(以下 ICU: intensive Care Unite)での集中治療は高額でリソースには大 きな制限があることから、ICU 利用の適正化が望まれています。ICU とは、“集中治療のために 濃密な診療体制とモニタリング用機器、ならびに生命維持装置などの高度の診療機器を整備した 診療単位”であり、集中治療とは“生命の危機にある重症患者さんを、24 時間の濃密な観察の もとに、先進医療技術を駆使して集中的に治療するもの”と定義されています(今井ら.日本集 中治療医学会雑誌 2009;16:503-504)。 本邦における ICU ベッドの割合は低いにも関わらず、その利用は比較的軽症の、特に消化管術 後患者さんの占める割合が多いとされています。これらの腹部手術後 ICU 入室される患者さんの 多くは生命の危機にある病態を有さず、モニタリングを目的としています。経験上、ICU におい てこれらの患者さんが集中治療介入を必要とする頻度は低い一方で、ICU を経由せず一般病棟に 直接帰室した後に集中治療を要し ICU に入室される患者さんも散見されます。医療安全、医療資 源の有効活用の観点から、術後モニタリング目的での ICU 入室の適応基準は改善すべき余地があ るのではないかと考えられます。 そこで今回我々は、術後 ICU 入室の基準の妥当性を検証すべく周術期患者データベースを構築 し、その実態を調査する研究計画を立案します。本データベースを用いて腹部手術(心臓血管外 科、移植を除く)患者さんに対し、術後 ICU において循環作動薬の投与、気道確保、人工呼吸、 血液浄化などの集中治療介入が必要となった、一般病棟から ICU 入室となった、ICU から一般病 棟に退室したが ICU に再入室となった患者さんについてその背景因子を比較検討します。 本研究において得られる結果は腹部術後患者さんにおける ICU 入室基準を適正化することで、 術後患者さんの予後を改善するのみならず、ICU リソースの最適化に大きく寄与することが期待 されます。

4. 研究方法

2010 年 4 月から 2018 年 3 月までに京都大学医学部附属病院中央手術部において麻酔科管理下に麻酔を受けた患者さんを対象とし、診療記録から得た情報を解析します。その際、診 療記録の情報(原疾患、既往歴、検査データ、手術・麻酔情報、術後経過等に関する情報) を抽出しますが、患者氏名や生年月日等本人を直接特定し得る情報はデータとして保存しま せん。抽出したデータはパスワードによってロックされるコンピュータで厳重に管理します。 抽出したデータは本研究の実施のみに利用し、それ以外の目的には用いません。本研究の結 果は麻酔科学領域における学会発表、論文執筆の形で還元いたします。なお、本研究は京都 大学医学部附属病院医の倫理委員会の審査を受け、京都大学医学部附属病院病院長、および 麻酔科長の許可を受けて行っています。

5. 研究対象の方への説明

研究の研究実施計画書については、個人情報や研究の実施に支障のない範囲で閲覧するこ とができます。研究実施計画書の閲覧を希望される方、あるいは本研究に関するご質問・ご 相談のある方は、本研究の主任研究者または病院の相談窓口までご連絡ください。 本研究へのご協力がいただけない場合には、研究対象者から除外しますので,下記までご連 絡下されば幸いに存じます。本研究へのご協力がいただけない場合にも、患者さんが診療上 の不利益を被ることは一切ありません。

6. 研究機関および研究責任者

主任研究者 京都大学医学部附属病院手術部(麻酔科) 助教 瀬尾英哉 (Tel) 075-751-3433 (E-mail) hideya[at]kuhp.kyoto-u.ac.jp 病院の相談窓口 京都大学医学部附属病院 相談支援センター (Tel) 075-751-4748 (E-mail) ctsodan[at]kuhp.kyoto-u.ac.jp

7. 研究実施期間

承認日より 3 年間(2018 年 7 月 3 日から 2021 年 7 月 2 日)

8. 研究資金・利益相反

の研究は、運営費交付金により実施します。特定の企業からの資金提供は受けていません。 利益相反については、京都大学利益相反ポリシー、京都大学利益相反マネジメント規程に従 い、京都大学臨床研究利益相反審査委員会において適切に審査・管理しています。

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