麻酔科専門研修プログラム

2017年年度プログラム番号: 61700004

京都大学医学部附属病院麻酔科専門医研修プログラム

1.プログラムの概要と特徴

責任基幹施設である京都大学医学部附属病院と20の基幹研修施設および関連研修施設が研修プログラムを構成し、専攻医が整備指針に定められた麻酔科研修カリキュラムの到達目標 を達成できる教育を提供し、十分な 知識と技術を備えた麻酔科専門医を育成する。

2.プログラムの運営方針

研修期間4年間のうち、最低1年間は責任基幹施設で研修を行う。

研修内容・進行状況に配慮して、プログラムに所属する全ての専攻医が経験目標に必要な特殊麻酔症例数を達成できるように、ローテーションを構築する。

京都大学医学部附属病院研修カリキュラム到達目標

施設の特徴

すべての外科系診療科がそろい、数多くの症例の麻酔管理を経験することができる。肝移植、肺移植、人工心臓植込み手術、経カテーテル大動脈弁留置術、覚醒下開頭術などは他院では経験することが難しい手術であり、経験豊かな指導医のもとでこれらの特殊な手術の麻酔管理を修得することができる。当施設の特徴の一つである日帰り麻酔の研修により、術後の早期回復を目指した質の高い麻酔を身につけることができる。

①一般目標

安全で質の高い周術期医療を提供し国民の健康と福祉の増進に寄与することのできる、麻酔科およびその関連分野の診療を実践する専門医を育成する。具体的には下記の4つの資質を修得する。

  1. 十分な麻酔科領域、および麻酔科関連領域の専門知識と技量
  2. 刻々と変わる臨床現場における、適切な臨床的判断能力、問題解決能力
  3. 医の倫理に配慮し、診療を行う上での適切な態度、習慣
  4. 常に進歩する医療・医学を則して、生涯を通じて研鑽を継続する向上心

②個別目標

目標1(基本知識)麻酔科診療に必要な下記知識を習得し、臨床応用できる。具体的には公益法人日本麻酔科学会の定める「麻酔科医のための教育ガイドライン」の中の学習ガイドラインに準拠する。

  1. 総論:
    • a)麻酔科医の役割と社会的な意義、医学や麻酔の歴史について理解している。
    • b)麻酔の安全と質の向上:麻酔の合併症発生率、リスクの種類、安全指針、医療の 質向上に向けた活動などについて理解している。手術室の安全管理、環境整備について理解し、実践できる。
  2. 生理学:下記の臓器の生理・病態生理、機能、評価・検査、麻酔の影響などについて理解している。
    • a)自律神経系 b) 中枢神経系 c) 神経筋接合部 d) 呼吸 e) 循環 f) 肝臓 g) 腎臓 h) 酸塩基平衡、電解質 i) 栄養
  3. 薬理学:薬力学、薬物動態を理解している。特に下記の麻酔関連薬物について作用機序、代謝、臨床上の効用と影響について理解している。
    • a)吸入麻酔薬 b) 静脈麻酔薬 c) オピオイド d) 筋弛緩薬 e) 局所麻酔薬
  4. 麻酔管理総論:麻酔に必要な知識を持ち、実践できる
    • a)術前評価:麻酔のリスクを増す患者因子の評価、術前に必要な検査、術前に行う べき合併症対策について理解している。
    • b)麻酔器、モニター:麻酔器・麻酔回路の構造、点検方法、トラブルシューティン グ、モニター機器の原理、適応、モニターによる生体機能の評価、について理解し、実践ができる。
    • c)気道管理:気道の解剖、評価、様々な気道管理の方法、困難症例への対応などを 理解し、実践できる。
    • d)輸液・輸血療法:種類、適応、保存、合併症、緊急時対応などについて理解し、 実践ができる。
    • e)脊髄くも膜下麻酔、硬膜外麻酔:適応、禁忌、関連する部所の解剖、手順、作用 機序、合併症について理解し、実践ができる
    • f)神経ブロック:適応、禁忌、関連する部所の解剖、手順、作用機序、合併症につ いて理解し、実践ができる。
  5. 麻酔管理各論:様々な科の手術に対する麻酔方法について、それぞれの特性と留意すべきことを理解し、実践ができる
  6. 術後管理:術後回復とその評価、術後の合併症とその対応に関して理解し、実践できる。
  7. 集中治療:成人・小児の集中治療を要する疾患の診断と集中治療について理解し、実践できる。
  8. 救急医療:救急医療の代表的な病態とその評価、治療について理解し、実践できる。それぞれの患者にあった蘇生法を理解し、実践できる。AHA-ACLS、または AHA-PALS プロバイダーコースを受講し、プロバイダーカードを取得している。
  9. ペイン:周術期の急性痛・慢性痛の機序、治療について理解し、実践できる。
    目標2(診療技術)麻酔科診療に必要な下記基本手技に習熟し、臨床応用できる。具体的には日本麻酔科学会の定める「麻酔科医のための教育ガイドライン」の中の基本手技ガイドラインに準拠する。
    1. 基本手技ガイドラインにある下記のそれぞれの基本手技について、定められたコース目標に到達している。
    目標3(マネジメント)麻酔科専門医として必要な臨床現場での役割を実践することで、患者の命を助けることができる。
    1. 周術期などの予期せぬ緊急事象に対して、適切に対処できる技術、判断能力を持っている。
    2. 医療チームのリーダーとして、他科の医師、他職種を巻き込み、統率力をもって、周術期の刻々と変化する事象に対応をすることができる。
    目標4(医療倫理、医療安全)医師として診療を行う上で、医の倫理に基づいた適切な態度と習慣を身につける。医療安全についての理解を深める。
    1. 指導担当する医師とともに臨床研修環境の中で、協調して麻酔科診療を行うことができる。
    2. 他科の医師、コメディカルなどと協力・協働して、チーム医療を実践することができる。
    3. 麻酔科診療において、適切な態度で患者に接し、麻酔方法や周術期合併症をわかりやすく説明し、インフォームドコンセントを得ることができる。
    4. 初期研修医や他の医師、コメディカル、実習中の学生などに対し、適切な態度で接しながら、麻酔科診療の教育をすることができる。
    目標5(生涯教育)医療・医学の進歩に則して、生涯を通じて自己の能力を研鑽する向上心を醸成する。
    1. 学習ガイドラインの中の麻酔における研究計画と統計学の項目に準拠して、EBM、統計、研究計画などについて理解している。
    2. 院内のカンファレンスや抄読会、外部のセミナーやカンファレンスなどに出席し、積極的に討論に参加できる。
    3. 学術集会や学術出版物に、症例報告や研究成果の発表をすることができる。
    4. 臨床上の疑問に関して、指導医に尋ねることはもとより、自ら文献・資料などを用いて問題解決を行うことができる。

③経験目標

研修期間中に手術麻酔、集中治療、ペインクリニックの充分な臨床経験を積む。通常の全身麻酔・硬膜外麻酔・脊髄くも膜下麻酔・神経ブロックの症例経験に加え、下記の特殊麻酔を担当医として経験する。

  • 小児(6 歳未満)の麻酔
  • 帝王切開術の麻酔
  • 心臓血管手術の麻酔(胸部大動脈手術を含む)
  • 胸部外科手術の麻酔
  • 脳神経外科手術の麻酔
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