集中治療部

 当院集中治療部は1987年に開設されこれまで本院並びに近隣地域の急性期医療を担ってきました。2019年12月には中病棟4階にICUを移転し20床に拡大して精力的に診療に取り組んでいます。当院中病棟には、1階に救命救急センター集中治療室(E-ICU)、3階に高度治療室(HCU)、そして4階に集中治療室・小児集中治療センター(ICU)が配置されており、ケアユニット間で連携しながら重症患者に日々対応しています。

診療体制

 集中治療部における診療は、麻酔科・集中治療部に在籍している麻酔科医(うち、13名が集中治療専門医)が24時間体制で診療を担っています。2021年からは小児科から重症症例を専門にする医師4名を迎え小児集中治療センターとしてより一層小児症例の受け入れにも注力しています。また、看護師、専従の薬剤師と臨床工学士、専任の管理栄養士と理学・作業療法士を加えて協力しながらチームで患者に向き合っています。10時からの診療回診には多職種が集まり、患者一人一人に対して診療内容を確認し、また診療方針に対して議論を行ってます。

診療内容

 当院における最重症患者の診療を行う診療部であるため、surgical, medical, emergency, pediatric ICUのいずれの機能を担いながら、院内の重症患者を幅広い層の重症患者を受け入れています。2023年(令和5年)の受け入れ人数は1007名のうち手術後の患者が75%を占めており、その内訳は消化器外科、心臓外科の順に多く、移植患者が93名(肝移植44名、肺移植26名、腎移植20名、肝肺同時1名、膵小腸同時1名、膵腎同時1名)でした。多くの術後患者を受け入れる当ICUにおいては、麻酔科医師が術後を含めた周術期管理をしっかりと担っています。

 また、入室患者の14%は病棟や他のユニットから敗血症、呼吸不全、ショックなど状態の急変した患者を受け入れました。これらの患者様を迅速に受け入れるために、2024年からRapid Response Systemを導入しています。当院では医療情報部の協力を得て電子カルテに記載されたバイタルデータからNational Early Warning Score (NEWS)を自動的に算出するアプリを作成しました。集中治療部医師と看護師が中心としたチームが、このアプリを情報共有ツールとして活用し連携を深め早期に患者の異常に気づき迅速に対応できるように取り組んでいます。

集中治療医を増やす取り組み

 集中治療専門医研修施設として診療だけでなく集中治療医の育成にも力を入れています。専攻医のうちから術後管理を学ぶため集中治療部での研修を取り入れており、周術期全体を管理できる麻酔科医となって欲しいと期待しています。また、2023年より集中治療医専門医による敗血症や人工呼吸管理など集中治療領域の講義(7-8回シリーズ)を始めた。若手麻酔科医師や研修医だけでなく看護師、管理栄養士、薬剤師、理学・作業療法士と幅広い職種の方に聴講してもらえるように現地とWEBのハイブリッド形式で開催しています。

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