ペインクリニック
施設の概要
ペインクリニック外来は、いつまでも続くつらい痛みを和らげて患者さんの日常生活の質を改善することを目指しています。
専門外来ならではのさまざまな薬物療法や神経ブロックを中心に、漢方診療ユニットとも連携して、少しでも痛みが和らぐように治療しています。
当科のペインクリニック外来は、外来棟4階の外科系処置室エリアにあります。エリア内には、診察スペース、処置台、外科系共用ベッドが設置されています。超音波ガイド下の神経ブロックはこの外来エリアで行っています。
当科は日本ペインクリニック学会の指定研修施設です。
主な対象疾患
- 帯状疱疹(ほうしん)関連痛(急性期の強い痛みや帯状疱疹後神経痛)
- 三叉神経痛
- 頭痛、顔面痛
- 腰下肢の痛み(腰椎の手術後も含む
- 手術後の慢性痛(乳房切除術や開胸手術等の術後に続く慢性の痛み
- 複合性局所疼痛症候群1型(反射性交感神経性萎縮症)、同2型(カウザルギー)
- 癌による痛み
- 血行障害による痛み
- 筋膜性疼痛症候群(肩こりや腰の痛み)
- 綿維筋痛症
- 原因の明らかでない痛み など
治療、神経ブロックを中心に、近赤外線照射(スーパーライザー)、低周波電気刺激療法、薬物療法(漢方薬を含む)を行っております。神経ブロックは最新式の超音波装置を導入し、安全かつ確実なブロックを行うよう努めています。特に帯状疱疹の急性期では、適応のある方に早期の神経ブロックを施行することで、帯状疱疹後神経痛に移行することを予防できる可能性があると言われています。
予約について
当科へ患者さんを紹介していただく場合は、「紹介初診患者予約システム」で予約をしていただくとスムーズに受診していただけます。
下記の2つの方法で予約できます。
- 本院ホームページから予約申し込み用紙をダウンロードして、075-751-3115へFAXしていただく。
- WEBサービス(事前登録が必要です)の予約画面から予約していただく。
詳しくは、本院ホームページにある患者さんの紹介予約システム
(http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/medical/system.html)をご参照ください。
外来担当医
本院ホームページに掲載されている麻酔科外来担当医表
(http://www.kuhp.kyoto-u.ac.jp/department/tanto/27.htm)をご参照ください。
診療に関するお問い合わせは、麻酔科受付(4-D受付)までお願いいたします。
TEL: 075-751-3415(月~金曜日の午前8時30分~午後5時まで)
診療実績
ペインクリニック外来での2021年(1月1日〜12月31日)の診療実績を掲載しています。
外来患者延べ数 4052名
新規患者数 151名
延べ処置数(多くの処置は超音波ガイド下に実施)
名称 | 件数 |
星状神経節ブロック(近赤外光照射含む) | 192 |
胸/腰部硬膜外ブロック | 12/17 |
仙骨部硬膜外ブロック | 15 |
三叉神経末梢枝ブロック(眼窩上・下・頤) | 30 |
三叉神経節(ガッセル)ブロック | 1 |
頚・胸部神経根ブロック | 12 |
腕神経叢ブロック | 11 |
肩甲上神経ブロック | 5 |
トリガーポイント注射 | 658 |
自己血パッチ | 2 |
対象疾患として、癌性疼痛・非癌性疼痛両方を含みます。
治療内容
月・水・金曜日の週3日、1〜2名の麻酔科スタッフが1日20-40人程度の患者さんの診察を行っています。
診察は、初診を含め、予約制です。初めて当科を受診される方は、かかりつけ医または主治医を介して本院の紹介初診患者予約システムで予約をとっていただくようお願いいたします。
初診の際は、かかりつけ医または主治医の紹介状とこれまでの処方歴がわかるお薬手帳をお持ちください。また、痛みの診察には、様々な角度から診察をする必要があります。初診当日は、ご自宅にある検査結果を(痛みとは関係ない検査であっても)すべて持参していただくようお願いいたします。(採血結果、レントゲン写真、CT、MRI結果のCDやDVDなど) また、介助の必要な方やご高齢の方は、ご本人の日常生活が分かるご家族などのお付き添いを可能な限りお願い致します。
また、初診では診察に先立って4階の受付でお渡しする問診票への記入をお願いします。
なお、当科で施行する痛みに関連したさまざまな臨床研究へのご協力をお願いすることがございます。
臨床研究の詳細は下記URLをご参照ください
京都大学医学部附属病院 麻酔科での臨床研究一覧
神経ブロック注射
神経ブロックとは主として末梢神経(脳脊髄神経や交感神経節)に直接またはその近傍に注射をおこなうことで、神経機能を停止させ痛みを軽減することを目的とした治療法です。
当院で行っている主なブロックと適応疾患は以下の通りです。
硬膜外ブロック (胸部、腰部、仙骨部) |
帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛、腰下肢痛、血流 障害、遷延性術後痛、がん性疼痛 など |
神経根ブロック | 頚椎ヘルニア など |
星状神経節ブロック (近赤外線治療含む) |
顔面から上肢にかけての疼痛や血流障害、複合性局所疼痛症候群、帯状疱疹、帯状疱疹後神経痛 など |
三叉神経ブロック | 顔面痛、三叉神経痛 など |
腕神経叢ブロック | 上肢痛 など |
その他のブロック | 後頭神経ブロック、肩甲上神経ブロック、トリガーポイントブロックなど |
神経ブロックの合併症としては、出血、局所麻酔中毒、ショック(痛みによる迷走神経反射や、アナフィラキシーショック)、神経損傷、などがあります。
当院では、可能な限りエコー装置を用いて安全にブロック注射が行えるようにしています。また、血をサラサラにするお薬(抗血小板薬、抗凝固薬)を内服している方や、血が止まりにくい方にはブロック注射以外の方法で痛みの治療を行うようにしています。
薬物療法
薬による痛みの緩和は、神経ブロック注射とともにペインクリニックにおける中心的な治療法です。いわゆる鎮痛薬以外にも、痛みの専門的な治療薬として抗うつ薬、抗てんかん薬などを使用します。
抗うつ薬や抗てんかん薬は、本来はうつ病やてんかんに対して使用しますが、ペインクリニックではそれらの薬の持つ鎮痛作用を利用しています。患者さんの症状に合わせて、最適な治療薬を提案させていただきます。
また、西洋医学で原因がわからない痛みや、副作用で西洋薬の内服が難しい場合、漢方治療を加えることで痛みや症状が改善することも少なくありません。当科では、漢方診療ユニットとも連携して、集学的に痛み治療にも取り組んでいます。